今回の記事では、住宅ローンが残っている事故物件の売却について解説していきます。
金融機関への交渉や売却手順についても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
住宅ローンが残っている事故物件でも売却は可能だが簡単ではない
住宅ローンが残っている事故物件を売却することは可能ですが、以下の2つの難関があります。
- 抵当権が残ったままでは自由に売却できない
住宅ローンが残っている不動産には抵当権が付いており、これを抹消しない限り自由に売却することはできません。
抵当権は住宅ローンの借り入れの担保として金融機関が不動産に設定する権利です。
不動産に抵当権がついていると、債権者に不動産を差し押さえられるリスクがあります。
そのような不動産を買いたいと思う人はいないでしょう。
このため、不動産を売却する際は、抵当権を抹消する必要があります。
抵当権を抹消するには、債務者(不動産の名義人)と債権者が共同で手続きを行う必要があります。
不動産の名義人が亡くなった場合は、相続人が名義変更をして名義人になり、抵当権の抹消手続きを行うことになります。
ただし、複数の金融機関でローンを組んでいる場合、それぞれに第一抵当、第二抵当が設定され、すべての抵当権を抹消する手続きが必要となるため注意が必要です。
なお、抵当権の抹消は、司法書士に委任して行うのが一般的です。
- 事故物件の売却時には告知が必要
事故物件を売却するには、売買契約前に買主に対し、その不動産内で過去に人が亡くなったことを伝える必要(告知義務)があります。
買主に不動産内で人が亡くなった事実を伝えると、なかには購入を取りやめる人も出てきます。
安くない不動産という買い物をして、新生活を送る場所として、できれば事故物件は避けたいと考える人も多いのです。
このため事故物件は買い手が付きづらいという問題が発生します。
ただし、人が亡くなった不動産だからといって事故物件になるわけではありません。
詳しくは告知義務と併せて「事故物件を売却する方法と注意点」のなかで解説しますが、事故物件になるかどうかは死因や建物の状況などによって決められ、事故物件に該当しない場合は告知せずに通常の物件として売却することができます。
ここでは簡単に説明しましたが、事故物件になる判断基準や事故物件だった場合の売却方法には、専門知識が必要になります。
弊社は事故物件や相続問題のある物件を数多く取り扱ってきた不動産業者です。
住宅ローンの残っている事故物件でも、提携している弁護士や司法書士とともに売却をサポートします。
住宅ローンの残っている事故物件の売却でお悩みの方は、ぜひご相談ください。
住宅ローンの残っている事故物件売却の流れ
ここからは住宅ローンの債権者が亡くなってしまった場合の事故物件売却の流れを解説します。
団体信用生命保険の加入の有無を確認する
住宅ローンの債務者が亡くなった事故物件を売却したい場合、まず初めに債務者が団体信用生命保険(団信)に加入していたかどうかを確認する必要があります。
団信に加入していると、債務者に万が一のこと(死亡や3大疾病、身体障害、要介護など)があった場合に、住宅ローンの残債を保険金で弁済することができます。
団信の保険料を滞納している場合や、加入者が亡くなってから3年経過するまで保険の支払いの申請をしていない場合は保険の適用外となるので注意が必要です。
債務者が団信に加入していた場合
亡くなった債務者が団信に加入していた場合は、団信の保険金が残債の弁済として金融機関に支払われるため、住宅ローンの残債を返済する必要がなくなります。
住宅ローンがなくなれば抵当権を抹消できるため、事故物件を売却することができるようになります。
抵当権の抹消手続きは、不動産を相続した名義人が金融機関と共同で行う必要があります。
抵当権の抹消手続きは、専門知識のある司法書士に委任するのがよいでしょう。
司法書士と連携している不動産業者に相談すれば、その後の事故物件の売却も併せて相談でき、やり取りもスムーズです。
債務者が団信に加入していなかった場合
亡くなった債務者が団信に加入していなかった場合、住宅ローンの残っている不動産の売却について金融機関に相談しなければなりません。
また、債券者が団信に加入していたとしても、保険の適用外になってしまう場合もあります。
その際は、住宅ローンの返済ができないため、金融機関と交渉する必要があります。
金融機関に不動産売却の旨を相談する
住宅ローンの残っている事故物件を売却したい場合は、なるべく早く金融機関(債権者)に相談しましょう。
住宅ローンが残っている不動産は債権者の合意がなければ売却することができません。
相談を受けた債権者は、その不動産を売却することで住宅ローンの完済の目途が立つかを知りたいため、不動産査定を行うよう依頼してきます。
不動産業者に不動産の査定を依頼する
不動産査定は、複数の不動産業者に査定をしてもらいましょう。不動産の査定価格は依頼する不動産業者によって違います。
複数に依頼して、おおよその相場を把握することが大切です。
ここでポイントとなるのが「売却したい不動産は事故物件」ということです。
事故物件は通常の物件と異なる査定が必要です。
そのため事故物件の査定は、事故物件の取り扱い実績のある買取業者に依頼したほうが早く適正価格を出してくれます。
査定価格によって売却方法を決定する
任意売却のために不動産業者に事故物件の査定をしてもらったら、その金額と住宅ローンの残債を比較してみましょう。
査定価格が住宅ローンの残債を上回る場合は、アンダーローンです。
逆に査定価格が住宅ローンを下回る場合は、オーバーローンになります。
アンダーローンの場合は通常通りの売却が可能ですが、オーバーローンの場合は抵当権を外せないので再度、金融機関に不動産の扱いについて交渉する必要があります。
競売と任意売却の違い
通常、住宅ローンの支払いができなくなった不動産は、抵当権によって金融機関が地方裁判所に競売の申し立てをします。
競売では地方裁判所によって行われる競り売り方式の売却方法です。
設定された販売期間内に最も高額での購入を申し出た人に売却しますが、競売の売却価格は一般の市場相場に比べて低くなる傾向にあります。
競売の売却代金だけでは、住宅ローンの残債を完済することは難しいでしょう。
任意売却とは、不動産を売却しても住宅ローンの残債を完済できない場合に、債権者の同意を得て一般市場で売却する方法です。
一般市場で売却できれば、競売より高く、相場に近い価格での売却ができるでしょう。
ただし、金融機関は確実に現金を回収したいため、時間がかかっても売れる確証のない任意売却より、競売に進むことを選ぶ可能性があります。
特に事故物件は一般市場に出しても買い手が見つかりづらいため、任意売却を懸念される傾向があります。
個人で金融機関と交渉するのは非常に難しいため、できれば弁護士と連携している不動産会社に相談し、対策を考えてから交渉するのがよいでしょう。
また、任意売却でも競売でも売却価格で支払いきれなかった残債は、借金としてその後も金融機関に支払っていかなければなりません。
事故物件を売却する方法と注意点
始めにもお伝えした通り人が亡くなった不動産全てが事故物件になるわけではありません。
事故物件にあたらない場合は人が亡くなったことを買主に伝える告知義務はなく、通常の物件と同様に売却できます。
逆に事故物件に該当する場合は、人の死があったことを買主に伝えなくてはなりません。
瑕疵とは
瑕疵とは、買主や借主が不動産取引を結ぶかどうかの判断を左右する不動産の欠陥や問題のことです。
事故物件の場合、物理的瑕疵と心理的瑕疵があるかがポイントになります。
それぞれ瑕疵がない場合とある場合の対応を見ていきましょう。
瑕疵がない場合
瑕疵がなければ売却時に告知義務は生じないため、一般の仲介業者に依頼して市場相場通りの金額で物件を売りに出すことができます。
ただし、瑕疵がなくても買主側から「過去に人が亡くなったことがあるか」と問われた場合には、告知義務が発生します。
瑕疵がある場合
物理的瑕疵・心理的瑕疵がある場合は修繕や告知が必要になります。
心理的瑕疵がある場合には、買主に事故物件であることを告知しなければいけません。
物理的瑕疵がある場合は、欠陥部分を修繕して売る必要があります。
具体的には、特殊清掃やリフォームが必要です。
修繕して物理的瑕疵がきれいになっても告知義務があります。
さらに、建物を解体したとしても告知義務は消えません。
告知義務に違反するとどうなるか
事故物件だと告知すると「人が亡くなった不動産は不吉」「人が亡くなった場所で新生活を始めたくない」と購入を迷ったり断念したりする買主が出てきます。
しかし、告知義務に違反すると、売主は「契約不適合責任」に問われ、多額の損害賠償請求をされる可能性があります。
契約不適合責任とは、買主が不動産についての重要事項を知らずに高額な不動産を購入してしまうリスクを防止するために誕生した買主側の責任です。
せっかく事故物件を売却できて、住宅ローンの返済に売却代金を充てられたとしても、告知義務に違反したせいで、売却後に高額な損害賠償請求を受けたり売買契約自体が解除になってしまったりすると、さらなる苦境に陥ることになるでしょう。
もし、売却したい不動産に物理的瑕疵や心理的瑕疵があった場合には、正直に買主に告知して売却することが大切です。
しかし、「事故物件に該当してしまうとなかなか買い手が見つからないのではないか」「売却代金が低くなってしまうのではないか」と不安になりますよね。
事故物件は買取と仲介どちらに相談するべきか
事故物件を売却する場合の相談先は、仲介業者と買取業者の2種類があります。
まずは、仲介と買取それぞれの特徴を比較してみましょう。
仲介の特徴
- 仕組み: 仲介業者を通じて一般に買主を探す方法
- メリット: 一般相場に近い価格で売却できる可能性がある
- デメリット: 仲介手数料がかかり、事故物件は売れにくく、売却期間が長期化する可能性がある
買取の特徴
- 仕組み: 買取業者が買主となって物件を購入する方法
- メリット: 迅速に売却でき、契約不適合責任が免責され、特殊清掃やリフォームの必要がない
- デメリット: 一般相場より低い価格での買取になる可能性がある
事故物件専門の買取業者に売却するのが最も良い方法
事故物件の売却はなかなか買い手が見つかりづらく、手続きや契約書にも細心の注意が必要です。
さらに住宅ローンの残債があると金融機関と交渉が必要になったり、相続も絡むと法的な知識も必要になり個人で売却を成功させるのは非常に困難になります。
住宅ローンの残っている事故物件を売却するのでれば、事故物件の買取実績があり、弁護士や司法書士と連携している事故物件専門の買取業者に相談するのが一番良い方法です。
事故物件売却のノウハウがある
事故物件専門の買取業者は事故物件の買取実績が多く、買取った事故物件をどのように活用し、どんな人に売却できるかも分かっているため、利益を見込んだ買取価格に挑めます。
また、事故物件の対処に必要な特殊清掃やリフォーム業者との付き合いがあるため、必要経費を抑え、買取価格に反映することができます。
こうしたノウハウがあるのは、事故物件専門の買取業者の大きなメリットです。
法律家のサポート体制がある
住宅ローンの残っている不動産の売却や相続が絡んだ場合の不動産売却には、法律の知識が必要です。
弁護士や司法書士と連携している事故物件専門の買取業者であれば、法律家のアドバイスの下、適切な対応で売却を進めていくことができます。
仲介手数料は不要
買取は、買主が買取業者のため仲介手数料がかかりません。仲介業者に不動産売却を依頼した場合の仲介手数料は「売却価格×3%+ 6万円」が目安で、さらにその金額には消費税が課税されます。
たとえば、1,000万円の売買価格の場合、仲介手数料は39万6,000円が目安です。
買取の場合は、この仲介手数料は0円になります。
契約不適合責任が免責になる
買取業者のほとんどは、物理的瑕疵がある事故物件でもそのままの状態で買取を行っているため、契約不適合責任を免責にする特約を付けています。
売買契約成立後に高額な損害賠償を請求されたり、契約解除になったりする心配がなくなることは、住宅ローンの残っている事故物件売却で非常に安心できる要素の一つになることでしょう。
事故物件修繕の買主負担はゼロ
事故物件専門の買取業者は、事故物件をそのままの状態で買取します。
売主が特殊清掃やリフォーム業者を探したり、費用を負担したりする必要がありません。
査定から買取までが早い
買取は仲介とは違い、査定から実際に売却して現金が手元に入るまでが早いのが特徴です。
買取は、仲介のように販売活動をして、購入希望者の内覧対応したり、条件交渉をしたり、買主の住宅ローン審査を待つ必要がないからです。
弊社の場合、無料査定ですぐに結果が分かります。
もちろん取引キャンセルになっても代金はかかりません。
まとめ
住宅ローンが残っている事故物件の売却は、通常の不動産売却よりも難しいですが、適切な方法と専門家のサポートを受けることで成功させることが可能です。
まずは、抵当権の抹消と事故物件の告知義務について理解し、金融機関との交渉や不動産業者との連携をしっかりと行いましょう。
事故物件の売却においては、買取業者を利用することでスムーズな売却が可能です。
専門の買取業者に相談することで、仲介手数料を節約し、契約不適合責任の免責を受けることができるため、安心して売却を進めることができます。
事故物件の売却にお悩みの方は、ぜひ一度専門の買取業者に相談し、最適な解決策を見つけてください。
当社でも承っておりますので、ぜひお声掛け下さい。