不動産を売却する際、まず行うのが査定です。
査定方法はいくつかありますが、多くの方が利用するのがインターネットを活用した不動産売却一括査定サイトです。
本記事では、不動産売却一括査定サイトの仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説し、最適な活用方法をお伝えします。
1. 不動産査定の方法と一括査定サイトの利用状況
不動産査定の方法は、主に以下の3つに分けられます。
① インターネットで不動産査定の依頼(一括査定サイトの利用)
② 近くの不動産会社や過去に取引のあった不動産会社へ依頼
③ 知人・友人・家族などから紹介された不動産会社へ依頼
この中でも、多くの方が利用するのが一括査定サイトです。
その理由は、複数の不動産会社に一度に査定依頼ができる利便性があるためです。
しかし、メリットがある一方で、デメリットや注意点もあります。
どの査定方法を選ぶべきか?
- 一括査定サイトの利用は、複数の不動産会社に短時間で査定を依頼できるため、効率的に相場を知ることができます。
ただし、営業電話が多くなる可能性があります。 - 近くの不動産会社や過去に取引のあった会社への依頼は、信頼できる担当者と直接相談できるため、売却計画をじっくり練ることができます。
- 知人・友人・家族の紹介は、安心感がある一方で、客観的な価格比較がしにくい点に注意が必要です。
どの方法を選ぶかは、不動産売却の目的や状況によって異なります。
例えば、「とにかく早く売りたい」場合は一括査定サイトの利用が有効ですが、「慎重に信頼できる業者を選びたい」場合は地元の不動産会社への依頼が向いています。
また、複数の方法を併用することも有効です。
例えば、一括査定サイトを利用して相場感を把握し、その後で信頼できる不動産会社に個別相談することで、より良い条件で売却を進めることができます。
2. 不動産売却一括査定サイトとは?
不動産売却一括査定サイトとは、売主が自分の不動産情報を入力することで、複数の不動産会社に一括で査定依頼を出せるサービスです。
以下は代表的な査定サイトです。
- SUUMO(不動産ポータルサイト大手。全国の不動産会社が登録)
- アットホーム(不動産仲介業者のネットワークが強い)
- イエウール(投資家向けの物件査定にも強みを持つ)
- すまいValue(大手不動産会社のみが登録されている)
- HOME4U(NTTデータ運営の信頼性が高い査定サイト)
- RE Guide(全国対応の査定サービス)
- リビングマッチ(都市部の不動産査定に強い)
- イエイ(査定依頼数が多く、利用者が多い)
- ホームズ(不動産ポータルサイトとしての知名度が高い)
- その他、多数の査定サイトが存在
一括査定サイトの種類と選び方
一括査定サイトには、大手不動産会社が中心のサイトと、地域密着型の不動産会社が登録しているサイトの2種類があります。
大手不動産会社中心のサイト
- すまいValue(住友不動産販売、東急リバブルなど大手6社のみ)
- HOME4U(NTTデータ運営で信頼性が高い)
- SUUMO(全国の大手・中堅の不動産会社が登録)
特徴: 大手企業の信頼性があるが、地元密着型の会社が少ない場合がある。
大手ならではの広範なネットワークやブランド力を活用できるため、売却活動をスムーズに進められることが多い。
一方で、大手の査定額は市場の平均値を反映することが多く、地域特有の事情が反映されにくい場合もある。
地域密着型の不動産会社が登録しているサイト
- イエウール(地方の不動産会社にも強み)
- イエイ(比較的中小規模の不動産会社が多く登録)
- アットホーム(全国の不動産業者ネットワークを活用)
特徴: 地元の不動産市場に詳しい不動産会社とつながれるが、大手の保証やサービスは受けにくい。
地域ごとの市場変動や特定の需要層に精通しているため、細やかな売却戦略を立てることが可能。
特に地方や特定エリアでの売却を考えている場合には、有力な選択肢となる。
どのサイトを利用しても、基本的な仕組みはほとんど同じです。
大手不動産会社に売却を依頼したい場合は「すまいValue」や「HOME4U」、地域密着型の会社を探したい場合は「イエウール」や「イエイ」などを選ぶとよいでしょう。
また、複数の査定サイトを利用することで、より多くの不動産会社と比較が可能になります。
一括査定サイトの利用前に、自分の不動産売却の目的に合ったサイトを選ぶことが大切です。
3. 一括査定サイトの仕組みと流れ
① 売主がサイトで不動産情報(所在地、広さ、築年数など)を入力
② サイトが提携している不動産会社に査定依頼を送信
③ 各不動産会社が査定を行い、売主に結果を通知
④ 売主が査定結果を比較し、媒介契約を結ぶ不動産会社を選択
この流れはシンプルで、手軽に不動産の相場を把握できます。
追加のポイント
✅ 査定方法には「机上査定」と「訪問査定」がある
- 机上査定(簡易査定)
過去の成約事例や周辺の相場を基に査定する方法。短時間で結果が出るが、正確性には欠ける。 - 訪問査定(詳細査定)
不動産会社の担当者が現地を確認し、建物の状態や設備、立地条件などを加味して査定する方法。
より正確な査定が可能。
✅ 不動産会社ごとに査定額が異なる理由
- 会社ごとにデータの分析方法が異なるため、同じ物件でも査定額にばらつきが出る。
- 会社によっては、契約を獲得するために高めの査定額を提示するケースもある。
- 地域密着型の不動産会社は、地元の市場に詳しく、より適正な価格を出せることが多い。
✅ 査定後の流れも把握しておく
- 査定額を確認したら、どの会社と媒介契約を結ぶか決める。
- 媒介契約には3種類ある(一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約)。
- 媒介契約を結ぶと、実際に売却活動が始まり、広告掲載や内覧対応が進められる。
このように、一括査定サイトを利用することで手軽に相場を把握できますが、査定の種類や不動産会社の違いを理解し、自分に合った方法を選ぶことが重要です。
4. 一括査定サイトのメリットとデメリット
メリット
✅ 一度の入力で複数の不動産会社に査定依頼ができる → 時間を節約できる。
✅ 不動産会社ごとの査定額を比較できる → 高額査定を提示した会社を選ぶことが可能。
✅ 不動産市場の相場を知ることができる → 適正価格を把握しやすい。
✅ 無料で利用できる → 費用負担なしで査定を受けられる。
✅ 自分に合った不動産会社を見つけやすい → さまざまな不動産会社を比較し、売却条件や対応の良さを判断できる。
✅ 地方の不動産情報も得られる → 大手不動産会社だけでなく、地域密着型の業者ともつながれる。
デメリット
❌ 一斉に複数の不動産会社から連絡が来る → 対応が大変になる。
❌ 査定会社によっては実際の売却価格よりも高い金額を提示する → 売却後に価格を下げざるを得ない場合がある。
❌ しつこい営業電話や追客が発生する → 査定を出した途端、連絡が頻繁に来ることがある。
❌ 査定価格=実際の売却価格ではない → 高い査定額を提示されても、その価格で売れるとは限らない。
❌ 悪質な不動産会社に当たる可能性がある → 実績が少ない会社や、売却を強引に進めようとする会社が含まれることも。
❌ 個人情報が複数の不動産会社に共有される → プライバシーを重視する場合は注意が必要。
不動産会社は査定依頼1件あたり約15,000円前後の費用を支払うため、契約を取りたくて過剰な営業を行うことがよくあります。
そのため、慎重に不動産会社を選ぶことが重要です。
また、査定額だけでなく、会社の対応やサービス内容も比較することが大切です。
単に高額査定を提示する会社よりも、実績や売却サポートの充実度を重視すると、スムーズな売却が期待できます。
5. 一括査定サイトを利用する際の注意点
① 「査定額が高い会社=良い会社」ではない
高額査定を出す会社の中には、売主に期待を持たせるために意図的に高めの価格を提示するケースがあります。
しかし、実際に市場では売れず、最終的に値下げせざるを得ないことが多々あります。
「適正価格かどうか」を見極めることが大切です。
② 営業電話やメールの対応を考える
査定を依頼した後は、不動産会社から連絡が一気に来るため、対応に追われることがあります。
過度な営業を避けたい場合は、「連絡方法の指定」ができるサイトを選びましょう。
また、一部のサイトでは「メール対応のみ」を選択できることもあります。
③ 査定価格と実際の売却価格の違いを理解する
査定価格はあくまで目安であり、実際の売却価格とは異なります。
相場よりも高い査定額を提示されても、必ずしもその価格で売れるわけではないことを理解しておきましょう。
市場の動向を加味した適正な価格を見極めることが重要です。
④ 査定サイトを使わず直接不動産会社に依頼するのも一つの手段
一括査定サイトを利用すると、営業電話が多くなりがちです。
時間に余裕がある場合は、直接不動産会社を訪問し、じっくり相談するのもおすすめです。
⑤ 口コミや評判を確認する
不動産会社によって対応が異なるため、過去の利用者の口コミや評判を確認し、信頼できる会社を選ぶことが大切です。
6. まとめ
不動産売却一括査定サイトは便利ですが、デメリットもあります。
慎重に活用することが重要です。
✅ 一括査定サイトは便利だが、営業連絡が多くなることを覚悟する
✅ 査定額が高くても実際にその価格で売れるわけではない
✅ 複数の査定結果を比較し、適正な価格を見極める
✅ 営業電話が苦手な場合は、直接不動産会社に査定依頼をするのも方法
✅ 売却目的に合った不動産会社を選ぶことが成功のカギ
不動産売却は大きな決断です。
慎重に情報収集し、自分にとって最適な方法を選びましょう。
一括査定サイトを上手に活用しつつ、信頼できる不動産会社を見極めることが成功への第一歩です。