支店や営業所を持つ企業に勤める会社員にとって、転勤は避けて通れない問題です。
ずっと住むつもりで購入したマイホームでも、突然の転勤により「家をどうするのか」考えなければならないこともあるでしょう。
転勤は家族のライフスタイルにも大きな影響を与えるため、住居の選択肢を慎重に検討する必要があります。
また、転勤のタイミングによっては売却のほかに賃貸や空き家として維持するという選択肢もあります。
それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、ライフプランや経済的な負担を考慮しながら最適な判断をすることが大切です。
本記事では、転勤時の不動産の取り扱いについて、売却を中心にどのような選択肢があるのか、また、それらの方法にはどんな特徴があるのかを解説します。
転勤時の不動産売却!転勤期間ごとに選択肢は異なる?
転勤時の家をどうする?3つの選択肢
「転勤時に家をどうするか」については、転勤の期間を基準にして決めるのがポイントです。
以下、期間ごとの選択肢を参考にしてみてください。
●転勤期間が2年以内:空き家のまま所有する
定期的に家の手入れ(庭の手入れや家の換気、掃除)などをおこなうことを前提に、空き家のまま所有すると良いでしょう。
※住宅ローンをご利用されている場合には、毎月の住宅ローンのお支払いは継続してまいりますので、住宅ローンのお支払いが困難でない場合に限ります。お支払い等が困難な場合は、ご売却をおすすめします。
また、短期間の転勤であっても、空き家として維持する際には維持管理のための手間と費用が発生します。
家の通気や給排水管の管理を怠ると、湿気による劣化や水回りのトラブルが発生する可能性があります。
こうしたリスクを考慮し、定期的なメンテナンスを依頼できる管理サービスを利用するのも一つの方法です。
●転勤期間が決まっている:不動産賃貸物件として貸しに出す
転勤期間が比較的長い場合は「定期借家契約」賃貸期間を定める形式での契約がおすすめです。
この形式で契約しておくことで、賃借人は期限内に退去を行わなければならず、通常賃貸の自動更新型と違い、ご自身の転勤が終われば退去問題のトラブル等もなくスムーズに戻ることができます。
※住宅ローンを利用している場合、賃貸物件として貸しに出した後、ローン会社との契約違反となる場合があり注意が必要です。
最悪の場合、ローンの一括返済などの対象となるケースもございます。
※賃貸に出された後、賃借人の方の使用状況などにより、お部屋の状態が悪くなる可能性もございますので、賃借人が退去された後にご自身がお住まいになる前に、リフォーム工事などが必要となるケースも考慮しておかなければなりません。
また、賃貸契約時には入居者の選定も重要なポイントです。
信頼できる不動産管理会社を活用し、入居者の信用調査をしっかり行うことで、トラブルのリスクを軽減できます。
さらに、家賃保証サービスを利用すれば、空室リスクや賃料未払いのリスクを抑えることも可能です。
●いつ戻れるかわからない:不動産売却をする
転勤期間が不明の場合、不動産売却をおすすめします。
空き家の状態で所有を続けると家の資産価値が下がっていくとともに、固定資産税や維持費はかかり続けます。
特に、転勤が長期化する可能性がある場合は、売却することで経済的負担を軽減できます。
不動産の資産価値は築年数とともに下がる傾向があるため、売却を検討する際には早めの判断が重要です。
また、売却する際には市場の動向を考慮し、価格が下がる前に最適なタイミングで売ることが望ましいです。
転勤のタイミングに合わせてスムーズに売却できるよう、事前に不動産会社に相談し、査定を依頼することをおすすめします。
転勤時の住まいの選択は、その後のライフプランに大きな影響を与えます。
短期間の転勤なら空き家管理、一定期間が決まっているなら賃貸、長期的な転勤が予想されるなら売却と、それぞれの状況に適した対応を選ぶことが大切です。
弊社では、転勤時の不動産売却や賃貸管理についてのご相談を承っております。
転勤が決まった際には、お気軽にご相談ください。
売却する際のメリット・デメリット
最も慎重におこなうべき「売却」を選んだ場合のメリット・デメリットをあげてみました。
メリット
- 家を現金化でき、住宅ローンご利用の場合はそのご負担が無くなる
- 家に関する管理の費用や手間がかからない
- 別物件の新規購入などができる
- 税金などの維持費がかからない
- 市場環境が良ければ、購入時より高く売却できる可能性がある
- 将来の不動産価値の下落リスクを回避できる
- 転勤先での生活設計がしやすくなる
デメリット
- 不動産市場とローンの残債に開きがある場合には、損失が出る可能性がある
- 売却のタイミングによっては市場価値が下がっていることもある
- 思い入れのある自宅を手放さなければならない
- 売却には時間がかかることがある(平均3〜6ヶ月)
- 売却に伴う税金(譲渡所得税など)が発生する可能性がある
- 不動産会社に支払う仲介手数料が発生する
- 再び同じ地域に戻る場合、買い直しの負担が発生する
不動産売却を選択することで、住宅ローンの負担や維持費の削減ができるメリットがありますが、一方で、売却価格が想定よりも低くなったり、市場状況によっては売却までに時間がかかる可能性もあります。
そのため、慎重に計画を立てることが重要です。
また、売却後に転勤先で新たな住まいを購入する予定がある場合は、売却価格と転勤先の住宅価格を比較し、資金計画をしっかり立てることが大切です。
不動産市場の動向や売却のタイミングによって、最適な売却方法が変わるため、不動産会社の専門家と相談しながら進めるのが良いでしょう。
弊社では、不動産売却に関するご相談を受け付けております。 転勤による売却を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
計画的に進めることで、不動産売却をスムーズに進めることができます。
不動産売却を選択した場合の注意点と早く売るためのコツ
現在、金融機関より抵当権が設定されている場合
住宅ローンを組む際に金融機関が家や土地に「抵当権」を設定しているため、抹消するには住宅ローンを完済しなければなりません。
売却代金で住宅ローンが完済できれば問題ありませんが、不足する場合は預貯金やその他の方法などで不足分を返済する必要があります。
また、売却活動を始める前に、金融機関へ相談し、どのような手続きが必要かを確認しておくとスムーズに進められます。
早期の売却を目指すなら「買取」も検討する
価格が安くても早く売りたい場合は、不動産会社による不動産買取を検討するのもおすすめです。
相場よりも2~4割程度安くなりますが、希望するスケジュールに合わせての売却が可能です。
買取を選択する場合は、複数の買取業者に査定を依頼し、できるだけ良い条件で売却できるよう交渉することも大切です。
しかし、少しでも高く不動産売却を行いたい場合は、最低でも売却にかかる期間として3~6か月は考えておきましょう。
そのため、転勤が決まったらすぐに不動産会社に相談し、売却の準備を始めることが重要です。
信頼できる不動産会社と専任媒介契約を結ぶ
専任媒介契約を結ぶことで、不動産会社が優先的に売却活動をおこない、早期の売却が可能になる場合があります。
専任媒介契約を選ぶことで、
- 売却活動を一社が一貫して担当するため、手間が減る
- 不動産会社が積極的に販売活動を行うため、早期売却が期待できる
- 物件の広告掲載や内見の調整がスムーズになる
といったメリットがあります。
ただし、専任媒介契約を結ぶ際は、不動産会社の実績や信頼性を確認し、適切なサポートが受けられるかどうか見極めることが大切です。
税金や費用の確認
売却時には譲渡所得税や住民税などがかかる場合があります。
また、仲介手数料や登記費用などの諸費用についても事前に確認し、売却価格と手元に残る金額を計算しておくことが大切です。
売却時にかかる主な費用:
- 仲介手数料: 売却価格の3%+6万円(税別)
- 譲渡所得税: 売却益が出た場合、短期(5年未満所有)は約39%、長期(5年以上所有)は約20%
- 登記費用: 抵当権抹消登記などの費用が必要
- 引っ越し費用: 売却後、新しい住まいへの移動費用
これらの費用を考慮した上で、売却金額と手元に残る金額を試算し、資金計画を立てることが重要です。
物件の魅力を高めるための工夫
高く、早く売るためには、物件の第一印象を良くすることが重要です。
- クリーニングを徹底する: 内覧時に清潔な状態を保つ
- 簡単なリフォームや修繕を行う: 壁紙の張り替えや設備の修理を検討する
- ホームステージングを活用する: 家具の配置を工夫し、魅力的に見せる
- プロの写真撮影を依頼する: 魅力的な写真を使い、広告効果を高める
これらの対策を行うことで、売却期間の短縮や価格の向上が期待できます。
買い手のターゲットを明確にする
売却活動を進める際には、どのような買い手層がターゲットとなるのかを考え、それに合わせたアプローチを行うことが重要です。
例えば、
- ファミリー向け: 学校や公園が近くにあることをアピール
- 投資家向け: 賃貸需要の高さや将来的な価値を強調
- セカンドハウス需要: 立地や環境の魅力を訴求
ターゲットに応じた広告戦略を取ることで、売却成功の可能性が高まります。
転勤時の不動産売却は、計画的に進めることでスムーズに進行し、リスクを最小限に抑えることができます。
弊社では、転勤時の売却サポートを行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
いざ転勤となると、引っ越しや家族の仕事などについても考えなければならず、余裕のない計画になりがちです。
家は大きな財産ですから、計画的な不動産売却を心がけることが大事です。
転勤時の不動産売却には、適切なタイミングや市場動向を見極めることが重要です。
また、売却活動を開始する前に、住宅ローンの残債や税金、手数料などの費用面をしっかり把握しておくことで、スムーズな取引が可能になります。
売却だけでなく、賃貸や空き家管理の選択肢も視野に入れることで、転勤後の負担を最小限に抑えることができます。
特に、長期的な転勤が予想される場合は、不動産市場の変動を考慮し、早めに売却を検討するのも一つの方法です。
弊社では、不動産売却に関するご相談を受け付けております。
売却の流れや必要な手続きについてもサポートいたしますので、転勤による売却を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
計画的に進めることで、不動産売却をスムーズに進めることができます。
不動産の価値を最大限に活かし、安心して転勤後の生活を迎えられるよう、適切な選択をしましょう。