不動産売却を行う際、売主には「境界を明示する義務」があります。
これは簡単に言えば、「敷地のどこからどこまでが自分の土地なのかを、買主に正確に示す義務」ということです。
たとえば、「ここが境界線です」「こちらに境界標(杭)が設置されています」と、目視で確認できる状態で買主に説明できる必要があります。
ところが、実際の現場では、
- 境界標が埋まってしまって見えない
- 境界標がなくなっている
- そもそも境界標が最初から設置されていなかった
というケースも少なくありません。
その場合は、売主の責任で、境界標を復元・新設したり、確定測量を行って境界を明確にする必要が出てきます。
境界標が見当たらない場合はどうする?
もし、ご自身で境界標を探してみて、
- 境界標がない
- 境界標が壊れている
- どこが境界かわからない
となった場合、土地家屋調査士に依頼して境界標の復元や確定測量を行うことになります。
ここでよく混同されがちなのですが、「測量士」ではなく「土地家屋調査士」が必要です。
なぜなら、境界標の設置には、
- 隣地所有者との立ち会い
- 境界確定の署名・捺印
などが必要であり、これらは土地家屋調査士でないと正式に手続きを進められないからです。
境界復元・確定測量の費用感
実際にかかる費用は状況によって大きく異なりますが、以下が一般的な目安です。
内容 | 費用の目安 |
---|---|
境界標1本の復元 | 約5万円~15万円 |
一般的な敷地(境界標4本程度)の確定測量 | 約40万円~70万円 |
敷地が大きく境界標多数 | 約100万円~200万円 |
広大地や複雑な法面が含まれる場合 | 200万円以上 |
※費用は、
- 隣地の協力状況
- 現地の地形(平地か傾斜地か)
- 接道の状況
- 過去の資料(測量図や登記簿)が整っているか
などによって変動します。
また、土地家屋調査士ごとに報酬設定も異なるため、複数の事務所から見積もりを取るのもポイントです。
境界標の種類について
境界標と言っても、実は種類はさまざまです。
- 鋲(びょう)タイプ … アスファルトやコンクリートに埋め込まれた金属の鋲。
- プラスチック杭 … 軽量で設置しやすいが、破損しやすい。
- コンクリート杭 … 頑丈で、公共用地などでよく使われる。
- プレート型 … 地面にプレートが埋め込まれているもの。
- 木杭 … 簡易的で、場合によっては風化や腐食が早い。
これらは土地の状況や設置された時期によって異なりますので、一度ご自分の敷地をチェックしてみましょう。
境界復元・確定測量時によくあるトラブルと注意点
実際の現場では、以下のようなトラブルが発生することが少なくありません。
よくあるトラブル例
- 越境問題の発覚
- 境界復元後に、自分のブロック塀や擁壁が隣地に越境していると判明。
- 逆に、隣地の構造物が自分の敷地に越境しているケースも。
- 隣地所有者が非協力的
- 境界立ち会いを拒否される。
- 隣地所有者が遠方在住で連絡が取れない。
- 立ち会い後に署名・捺印を拒否
- 境界は確認してもらえたのに、最終的に同意書への署名を拒否される。
- ハンコ代の請求
- 隣地所有者から「署名するなら費用を払ってほしい」と数万円~数十万円の請求がある場合も。
- 第三者の介入で話がこじれる
- 立会いの際に、隣地所有者が知人や議員、弁護士などを同席させ、交渉が難航する。
- 隣地に立ち入らせてもらえない
- 測量作業のために隣地敷地内に入らせてもらう必要があるのに、拒否される。
境界標確認は早めに!
不動産売却の際、境界標の問題は売却手続きがストップする原因になりやすいポイントです。
特に、
- 相続された土地
- 長年使用してきた土地
- 過去に測量をしていない土地
では境界標が失われているケースが非常に多いです。
売却を決めたら、まずは境界標をすべてチェックすることをおすすめします。
まとめ
✅ 売主には、境界明示の義務がある
✅ 境界標が目視で確認できない場合、復元・確定測量は売主負担
✅ 費用は土地の規模・状況により大きく変わる(5万円~200万円以上)
✅ 隣地所有者の協力が必要で、トラブルになることも
✅ 境界標がない場合は、早めに土地家屋調査士に相談を
売却をスムーズに進めるためにも、境界標の状況確認と早めの準備が重要です。
もし境界に不安がある場合は、お気軽に弊社へご相談ください。
過去のトラブル事例を踏まえたアドバイス、必要に応じて土地家屋調査士のご紹介など、しっかりとサポートさせていただきます!