不動産売買契約書に貼付する収入印紙と印紙を貼らなくてもいいケースとは?

不動産を売却し、いざ売買契約を結ぶ際、契約書に収入印紙を貼付しなければならないことは、多くの方がご存じかと思います。

これは国税にあたる「印紙税」という税金で、法律で定められている義務です。

収入印紙の金額は売買価格によって決まる

不動産売買契約書に貼る収入印紙の金額は、売買価格がいくらなのかによって異なります。

例えば、売買価格が1,000万円以上5,000万円以下の場合は1万円の印紙税が必要になります。(※令和9年3月31日までは軽減措置が適用)

詳しい税額表は下記の国税庁公式ページで確認できます。

➡️ 国税庁:印紙税額一覧


目次

通常の印紙税の貼付方法

通常、不動産売買契約書は2通作成されます。

  • 1通は売主が保管
  • もう1通は買主が保管

この場合、それぞれの契約書に印紙を貼る必要があり、売主・買主ともに自分が保管する契約書分の印紙代を負担するのが一般的なルールです。

印紙税の貼付を省略できるケースについて詳しく解説

通常、不動産売買契約書は売主と買主それぞれ1通ずつ作成し、その双方に収入印紙を貼付します。
しかし、ある条件を満たせば、売主側が印紙税の負担を避けることができるケースも存在します。

1通のみ契約書を作成し、買主が印紙税を負担する場合

具体的な方法は以下のとおりです。

どのような場合に可能か?

  • 売主・買主の双方が合意している
  • 売買契約書を1通のみ作成
  • 契約書原本は買主が保管し、売主はコピー(写し)を保有
  • 印紙税の負担は買主が全額負担

この形にすれば、売主側は印紙税の支払い義務を負いません。

重要ポイント

ただし、この方法を取る際には必ず以下の点を明確にしておくことが必要です。

  1. 契約書の中に、「契約書原本は買主が保有し、印紙税は買主が負担する」と明記
  2. 売主が保管するのはあくまでコピー(写し)であることを明記

これを怠ると、後々のトラブルにつながる恐れがあるので注意が必要です。


印紙税の負担割合は自由に決められる

印紙税に関しては、法律で「売主・買主どちらが負担しなければならない」という明確なルールはありません。

そのため、例えば以下のようなパターンでも問題ありません。

  • 売主と買主で折半する
  • 売主が全額負担する
  • 買主が全額負担する

あくまでも契約当事者間の合意次第で決められます。

しかしながら、ここで大切なのは口頭での取り決めだけにせず、売買契約書の中にしっかりと負担区分を明記しておくことです。
これにより、後になって「どちらが払う約束だったのか?」と揉めることを防げます。


収入印紙の貼付漏れは要注意

ここで注意しなければならないのは、収入印紙の貼付漏れは脱税とみなされ、税務署から過怠税(印紙税の3倍相当)を課されることがある点です。

たとえ「知らなかった」「手続きミスだった」としても、法律違反には変わりありません。

特に多いのが、「契約書は2通あるけど1通だけ印紙を貼ってしまった」「担当者が負担区分の取り決めを書き忘れた」といったケース。

不動産会社が契約書を作成する場合でも、最終確認は売主・買主双方で必ず行うようにしましょう。


電子契約を利用すれば印紙税は不要!

最近注目されているのが、電子契約(電子署名)の活用です。

紙の契約書に収入印紙を貼る必要があるのは、「紙で作成された文書に課税する」という印紙税法の規定によるもの。

つまり、電子契約の場合は紙の文書が存在しないため、印紙税そのものが不要になります。

電子契約のメリット

  • 印紙代の節約(高額取引なら印紙代が数万円〜十数万円になることも!)
  • 契約までのスピードが早い
  • 郵送や押印作業が不要
  • 双方が遠方にいても問題なく締結できる

なお、電子契約を導入している不動産会社かどうかは事前に確認しておきましょう。


まとめ

売主が印紙税を負担しなくても良い方法は、「契約書を1通のみ作成し、買主が負担する」と明確に合意&記載することが条件

印紙税の負担割合は、当事者間で自由に決めてOK。ただし、契約書内に必ず明記することが重要

印紙漏れは違法行為。過怠税(3倍課税)のリスクがあるので必ず注意

電子契約なら印紙税が不要。費用を抑えたい場合は電子契約を検討するのもおすすめ

印紙税の取り扱いについて迷った場合は、不動産会社や税理士とよく相談しながら進めましょう。
不動産取引は高額なため、小さな見落としが大きな出費やトラブルにつながります。
しっかり理解して、安心・確実な取引を心がけましょう!

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