住宅ローンの返済に苦しんでいる方にとって、任意売却は一つの有力な選択肢です。任意売却は、ローンの残債よりも低い価格で不動産を売却する方法ですが、競売に出されるよりも高い価格で売却できる可能性があり、プライバシーを守りながら手続きを進めることができます。
以下にその概要と、特におすすめのケースをご紹介します。
任意売却とは?
任意売却は、住宅ローン返済が困難になった場合に、金融機関の同意のもとで不動産を市場価値に近い価格で売却し、得られた金額でローンの一部を返済する方法です。競売に比べて高い価格で売却が可能であり、売却後の残債を減らすことができます。
任意売却がおすすめのケース
- 収入減でローン返済が困難に: 経済状況の変化で収入が減少し、ローンの返済が難しい場合。
- 賃貸経営の収入不足: 賃貸物件の家賃収入が予想より低く、ローンの返済ができない場合。
- 不動産価値の下落: 不動産の市場価格がローン残高を下回り、損失を最小限に抑えたい場合。
- 金融機関からの督促: 借入先から督促状や催告書が届いた場合、任意売却を検討するタイミングです。
- 税金滞納による差し押さえ: 固定資産税や住民税の滞納で差し押さえの恐れがある場合。
- 競売開始決定通知が届いた場合: 裁判所からの通知を受け取ったら、即座に任意売却の相談を。
任意売却は、金融機関からの信用回復や、新たな金融機関との信頼関係構築にもつながります。また、競売よりも高額で売却できるため、残債務を減らし、将来的な負担を軽減できる可能性があります。住宅ローンの返済に悩んでいる場合は、早めに専門家に相談し、可能な選択肢を検討することが重要です。
任意売却のメリット
- 高価格での売却: 競売よりも高値で売却できる可能性があります。
- プライバシーの保護: 周囲に知られずに売却できるため、社会的な信用を保つことが可能です。
- 債務の一部免除: 売却後も残る債務について、債権者との交渉により一部免除されることもあります。
不動産を競売ではなく任意売却するメリットは大きく5つあります。
① 自分の意思を反映できる
意売却のもっとも大きなメリットは、売却に際して所有者の意思を反映できることです。 不動産が競売にかけられる場合、売却価格や売却時期、売却相手もすべて裁判所が決定し、所有者の意思や事情が反映されることはありません。 落札されて所有権移転登記がなされると、不法占拠者とされ立ち退きを要求されてしまいます。 その点任意売却なら、通常の売却と同じように売却できるため、売却価格の希望や売却時期の調整が可能になります。 買主と調整できれば、慌てて引っ越しする必要もありません。
② 市場価格に近い値段で売却できる
任意売却では市場価格に近い値段で売却できることがメリットです。 購入時のリスクが高い競売物件は、売却するために市場価格の7割程度で取引されるのが一般的です。 売却価格が安くなると、債権者は回収できる金額が低くなり、債務者は多くの残債が発生してしまいます。 任意売却は、債権者・債務者の両方にメリットがある売却方法なのです。
③ 周囲に事情を知られることなく売却できる
任意売却は、周囲に事情を知られることなく売却できることもメリットです。
不動産が競売にかけられると、購入希望者を募集するために物件情報がインターネットや新聞に掲載されてしまいます。
そうすると、ご近所や職場の人などに、住宅ローンを滞納して自宅が競売にかけられていることを知られてしまう可能性があります。
任意売却であれば、通常の売却と同様に進められるので、「引っ越すことになった」といった理由を言えば、滞納の事実を知られることはありません。
④ 残債の分割返済が認められる
任意売却では、金融機関と相談することで、残債の分割返済を認めてもらえるのもメリットです。 競売の場合、残債は一括返済する必要があります。 しかしローンを返済できない事情がある人が、一括返済できることはほとんどなく、自己破産する人も少なくありません。 自己破産されてしまうと、金融機関はそれ以上の貸付金を回収できなくなってしまいます。 そのため任意売却では、債権者が事情を考慮したうえで、月々5,000円~30,000円程度の返済しやすい金額での分割返済を認めてもらえるのが一般的です。 自己破産しなくて済むうえ、無理のない返済計画を立てられるので、生活を立て直しやすくなるのです。
⑤ 引っ越し代金を融通してもらえる可能性がある
任意売却では、債権者に交渉することで、最高30万円程度の引っ越し代金を融通してもらえる可能性があることもメリットです。 競売にかけられた場合、売却金額から引っ越し代金を融通してもらえることはなく、すべて債務の返済に充てられてしまいます。 立ち退きの日程も決まっているので、その日までに引っ越し費用を自分で用意しなければなりません。 引っ越し費用をいくら融通してもらえるかは、金融機関によって異なるため、なるべく多く融通してもらえるようていねいに交渉すると良いでしょう。
これらのメリットを活かし、住宅ローンの返済に困った際は任意売却を検討することで、より良い解決策を見出すことが可能です。
任意売却のプロセス
- 専門の不動産会社の選定: 任意売却を専門に取り扱う不動産会社を選び、媒介契約を結びます。
- 債権者との交渉: 不動産会社や専門家が債権者と売却条件について交渉します。
- 物件の販売: 条件が合意に達した後、物件の販売活動が始まります。
- 売却と債務整理: 売却が成立した後、売却代金は債権者へ支払われ、残債務の処理が進められます。
不動産を任意売却する際の流れは以下のようになります。
1. 査定価格とローン残高を確認する
任意売却を考える第一歩は、ローン残高と不動産の市場価値を把握することです。金融機関にローン残高を確認し、不動産会社に物件の査定を依頼します。
2. 債権者に任意売却の許可を取る
次に、金融機関などの債権者に任意売却の意向を伝え、許可を得ます。ローン返済の困難さと、任意売却による最大限の債務返済の意志を説明する必要があります。
3. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
債権者からの許可が得られたら、信頼できる不動産会社と媒介契約を結びます。任意売却の成功は不動産会社の協力に大きく依存するため、専任媒介契約または専属専任媒介契約を推奨します。
4. 買主と売買契約を結ぶ
適切な買主が見つかったら、売買契約を結びます。任意売却では、手付金を不動産会社が管理するのが一般的です。
5. 決済・引き渡しを行う
買主のローン手続き完了後、決済と物件の引き渡しを行います。受け取った売却金は債務返済に充てられ、引越し費用の支援がある場合は、事前に債権者と相談しておく必要があります。
6. 残債は引き続き返済していく
任意売却後も残債が残る場合は、金融機関と合意した返済計画に従って、引き続き返済していきます。
任意売却は、住宅ローンの返済に困った場合の一つの選択肢として、債権者と債務者双方にメリットがある方法です。適切な手続きを踏むことで、より良い解決を目指しましょう。
任意売却は、ローン返済のプレッシャーから解放されるための方法ですが、手続きには複雑な部分が多く、専門家のアドバイスが必要です。住宅ローンの返済が困難になった場合は、早めに専門家に相談し、可能な選択肢を検討することが大切です。
競売との違い
競売は裁判所を通じて行われる不動産の強制売却で、債務者の意向よりも債権回収を優先します。これに対し、任意売却は債務者が主体となり、自らの事情や希望を反映させた上で売却を進めることができる点が大きな違いです。
注意点
任意売却を成功させるには、債権者の同意が必須です。そのため、債務者は早期に金融機関に相談し、合意形成を目指す必要があります。また、不動産会社との密接な連携も重要で、任意売却に理解のある専門の不動産会社を選定することが成功の鍵を握ります。
任意売却を検討する際の注意点について、以下のポイントが重要です。
1. 早期の対応が必須
住宅ローンの支払いに困難を感じた時は、早めに対策を講じることが大切です。支払いが厳しいと感じた瞬間が、対応を始めるべきサインです。遅れるほど選択肢が限られてしまい、問題解決の機会を逃す可能性が高くなります。
2. 不動産会社への相談
問題を解決するための第一歩として、任意売却に経験のある不動産会社に相談することをお勧めします。不動産会社は、物件の売却方法や市場価値の評価に関して専門的な知識を持っています。弁護士へ相談する前に、まずは不動産会社へ連絡を取り、可能な対策について話を聞くと良いでしょう。
3. 弁護士費用の検討
任意売却に際して弁護士に相談する場合、費用が高額になることがあります。弁護士に支払う費用が、任意売却によるメリットを上回ってしまう場合もあるため、費用対効果をよく考える必要があります。また、弁護士に相談する前に、他の解決策がないか不動産会社と相談することが望ましいです。
4. メリットの検討
任意売却は、すべてのケースで最適な解決策とは限りません。ご自身の状況や、任意売却によって得られるメリット、残る債務の問題などを十分に検討し、総合的な判断を下すことが重要です。
任意売却を成功させるためには、早期の行動、適切なアドバイスを受けること、そして自身の状況に合った最良の決断をすることが求められます。
任意売却は、住宅ローンの返済が困難になった場合に考慮すべき選択肢の一つです。自己破産や競売といった他の手段に比べ、債務者にとっても債権者にとっても利点が多い方法であるため、検討の価値は高いでしょう。
まとめ
ローンの返済が厳しくなったら、まずはローン残債と売却で得られる金額を比較する必要があります。 売却金額がローン残債を下回る方は、金融機関に任意売却を相談しましょう。 株式会社ホワイトハウスでも、仙台市や仙台市近郊にある不動産の任意売却のご相談に応じていますので、お気軽にお問い合わせください。
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