仙台市の不動産売却|仙台で不動産売却の際の相続税について注意すべきこと

目次

親から相続した実家を売却した場合、印紙税、譲渡所得税及び住民税の3つの税金がかかりますので、以下それぞれ解説します。

印紙税は、不動産売買契約書作成時にかかる税金です。税額は下表の通り、契約書に記載された契約金額に応じて段階的に税額が増えていく仕組みになっています。

出典:国税庁HP「タックスアンサーNo.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」より抜粋

例えば、親から相続した実家の売買契約(売買代金4000万円)を締結し、契約書を作成した場合、印紙税1万円がかかります。なお、印紙税は、金融機関等で納税手続きするものではなく、郵便局等で購入した印紙を契約書に貼り、消印することで納税したことになります。

契約書を売主と買主双方保管用に2部作成した場合には、契約書1部ごとに印紙税がかかります(上記の例だと1万円×2部=2万円)。したがって、印紙税の節税のために契約書正本(印紙貼付・消印済)を1部作成し、そのコピーを作成する方法が不動産売買の実務上用いられています(下図参照)。

印紙税の節税イメージ
印紙税の節税イメージ

譲渡所得税及び住民税は、不動産を売却して売却益(儲け)がでた時にかかる税金です。これら税金の計算体系は下図の通りです。

譲渡所得税及び住民税の計算体系イメージ
譲渡所得税及び住民税の計算体系イメージ

まず、①収入金額から②取得費、③譲渡費用、④特別控除を控除して、⑤譲渡所得(売却益)を求めます。以下、各項目について解説します。

①収入金額
収入金額は、不動産売買契約書に記載の売買代金になりますが、別途買主から支払われる未経過固定資産税・都市計画税の精算金があればそれを加える必要があります。

②取得費
親から相続した土地の場合、親がその土地を購入した時の購入代金や購入手数料に、相続人が相続した際に支払った登記費用、登録免許税等を加算した額になります。なお、遺産分割に関連する訴訟費用や弁護士費用は、取得費に含まれませんので注意が必要です。

親から相続した建物の場合も基本的な考え方は上記土地と同じです。ただし、土地と異なり、取得費の計算上、減価償却費相当額(建物の経年減価相当額)を計算して控除する必要があります。相続人が相続した時から減価償却費を計算するのではなく、親が建物を取得した時から計算する点に注意が必要です。

親から相続した実家に関して、親が実家をいくらで購入したか等わからないという場合もあるかと思われます。そうした場合には、①収入金額の5%を取得費とすることができます。

なお、親から相続した実家を、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日(通常、死亡した日から3年10カ月)までに売却した場合、相続税額のうち一定の方法により計算した金額を取得費に加算することができます。この特例を「相続財産譲渡時の取得費加算特例」と呼びますが、「相続した空き家を譲渡した場合の3000万円特別控除」(以下詳細)との重複適用はできませんので注意が必要です。

③譲渡費用
譲渡費用は、不動産を売却するために直接要した費用(仲介手数料や測量費等)が該当します。修理費や維持管理費はここでいう譲渡費用には該当しませんので注意が必要です。

④特別控除
特別控除に関しては、以下別途解説します。

次に、⑤譲渡所得(売却益)に対して乗じる税率ですが、不動産を売却した年の1月1日現在で、その不動産の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」の税率、5年以下の場合は「短期譲渡所得」の税率が適用されます。相続した不動産の場合、通常、被相続人(亡くなった人)が取得した日から所有期間を計算します。

不動産を売却した際に使える可能性のある特例はかなりの数がありますが、ここでは代表的な2つの特別控除について、親から相続した実家を売却する場合を想定して解説します。

個人がマイホーム(居住用財産)を売却し、一定の要件を満たした場合に、譲渡所得から最高3000万円まで控除できる制度です。本制度の適用要件のうち最も重要な要件は、売却した不動産が「居住用不動産」の要件を満たすか否かです。現所有者である売主が売却直前までその不動産に住んでいた場合は特に問題は生じませんが、例えば、親から相続した実家で、相続人(売主)が相続後全く住んでおらず空き家状態の場合には本制度の適用はありません。

相続人が、被相続人が1人で住んでいた建物及びその敷地を相続により取得し、その空き家を売却した場合、一定の要件を満たすときは、譲渡所得から最高3000万円まで控除できる制度です。制度イメージは以下の通りです。

出典:国土交通省HP「空き家の発生を抑制するための特例措置(制度の詳細)」より抜粋

親から相続した実家を売却する場合、本制度の適用を受けるには、以下1~11の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 売主が、売却する建物・敷地の前所有者(被相続人)の相続人または包括受遺者であること
  2. 売主が、被相続人の住んでいた建物(母屋)とその敷地の両方を相続または遺贈により取得したこと
  3. 売主が、その建物・敷地の売却について過去にこの制度を適用していないこと
  4. その建物が、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたものであること
  5. その建物が、区分所有建物(マンション等)でないこと
  6. 被相続人が、相続開始の直前において、その建物に1人で住んでいたこと
  7. 買主が、売主の親族等でない第三者であること
  8. その家屋・敷地の売却時期が、相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間、かつ、制度の適用期間である2023年(令和5年)12月31日までの間であること
  9. 売却代金が1億円以下であること
  10. 相続開始の時から売却時まで、事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていないこと
  11. その建物が、売却時に耐震基準に適合していること
母屋と離れがある場合のイメージ
母屋と離れがある場合のイメージ図。母屋とその敷地の部分のみが「空き家の譲渡所得の3000万円控除」の適用対象となり、離れとその敷地部分について適用対象とはなりません

6については、被相続人が老人ホーム等に入所していた場合には、「その入所直前において、その建物に1人で住んでいたこと」となります。例えば、誰かに貸していた場合や同居人がいた場合は要件を満たしません。

また、建物を取り壊してその敷地のみ(更地)を売却した場合、10は「相続開始の時から建物取り壊しの時まで、その建物が、事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていないこと」、11は「相続開始の時から売却時まで、その敷地の全てが、事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていないこと。また、建物取り壊し時から売却時まで、建物または構築物の敷地の用に供されていないこと」となります。

特別控除の適用要件もかなり細かく注意が必要なのですが、以下の通り、各制度について併用できる場合と併用できない場合があるのでさらに注意が必要です。

出典:国土交通省HP「空き家の発生を抑制するための特例措置(他の税制との適用関係)」より抜粋

住宅(建物部分)については経年減価していくので売却益が出ることは稀で、譲渡益が出るとすれば土地の方ですが、特に取得費の計算や特別控除等の各種特例の適用要件の判定や所得税確定申告書への添付書類の収集は難易度が高いので、早めに税理士に相談することをお勧めします。

平成28年度税制改正により創設された「相続等により取得した空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除」。さらに令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以後、この特例の適用対象となる譲渡について範囲が拡大されます。

令和6年1月1日以後の譲渡から買主が耐震改修等を行なっても適用対象に

令和6年1月1日以後の譲渡から、売買契約等に基づいて、買主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修又は除却の工事を行った場合、工事の実施が譲渡後であっても適用対象となります。

被相続人居住用家屋相続開始直前に被相続人の居住用家屋であったこと
(老人ホーム等への入所で一定の場合は適用可)
相続開始直前に被相続人以外の居住者がいなかったこと
昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(区分所有建築物を除く)
土地等相続開始直前において「被相続人居住用家屋」の敷地の用に供されていた土地等
対象者相続により「被相続人居住用家屋」及びその敷地の用に供された土地等を取得した個人
適用期間平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡
譲渡期限相続の時から相続開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡
譲渡対価限度額譲渡対価の額が1億円を超えるものを除く

<特例のイメージ>

<特例のイメージ>

譲渡対価が1億円を超えるものは適用されない

建物及び土地の合計譲渡価額が 1億円を超えるものについては、特例が適用されないこととされています。もちろん2回以上に分けて売却した場合には通算して1億円超かどうかが判定されます。また、共有者がいる場合には、その合計金額で判定されます。

共同相続人が時期を違えて譲渡等した場合

譲渡対価の額が 1億円を超えるかどうかは、相続人が共同で被相続人居住用家屋とその敷地を相続し、その後、時期を前後して各相続人がこれらの資産を譲渡した場合などには、相続開始の日から最初に譲渡をした日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡を合計して1億円以下かどうかを判定することになります。

<譲渡対価が1億円を超えるかどうかの判定期間の例>

<特例のイメージ>

適用前譲渡及び譲渡の期間内に贈与や定額譲渡があった場合

この譲渡には贈与及び低額譲渡が含まれますので、相続開始の日から譲渡をした日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに贈与等があった場合には、贈与時の価額又は低額譲渡時の価額を加算して1億円を超えるかどうかを判定することになります。本制度の適用を受けた場合は、対象資産の譲渡と前後する贈与や低額譲渡について、期間内の合計価額が1億円を超えないように留意する必要があります。

Q. 売却にかかる税金はいつ納める?

相続不動産の売却した際の納税タイミングは、印紙税については契約書作成時、譲渡所得税は売却した年の翌年の確定申告期限(3月15日)、住民税は翌年の6月以降になります。

Q. 相続した不動産をすぐに売却する場合、相続登記は省くことができますか?

すぐに売却する場合であっても、事前に被相続人から相続人への相続登記をしておくことが必要です。被相続人から買主へ直接不動産の名義変更をすることはできません。

親から実家を相続した場合、活用する予定があればいいですが、活用もしないのに所有だけしていては、維持費ばかりがかかってしまうので、売却は一つの選択肢となるでしょう。不動産売却となると大きな金額が動くことがほとんどなので、かかる税金も高額になりがちです。特別控除や特例を活用した節税対策で不安を感じたら、まずは税理士に相談してみてください。
知り合いの税理士がいない方は、株式会社ホワイトハウスにご相談いただけたら頼りになる税理士をご紹介できます。

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