よくあるトラブル
不動産売却でよく起こるトラブルとして、以下の5つの場合があります。
仲介手数料の金額に関するトラブル
不動産売却で特に気をつけなければならないのが、仲介手数料に関するトラブルです。
中には、法外な金額の仲介手数料を請求してくる悪質な不動産会社がいるため注意が必要です。
不動産会社に支払う仲介手数料は、法律で以下のように上限額が決められています。
200万円以下の金額 取引額の5%
200万円超400万円以下の金額 取引額の4%
400万円超 取引額の3%
上記で算出される金額以上の支払いを求められた場合は注意しなければなりません。
上限額内であれば法律的な問題はありませんが、あくまで上限額であり、中には値引きや無料で対応してくれる不動産会社もあるため、
比較検討して総合的に判断することが大事です。
また、仲介手数料は売買契約が成立したタイミング、あるいは売買契約時と決済・引き渡し時の2回に分けて支払うのが基本なので、
それより前に請求された場合は支払う義務はありませんので注意してください。
仲介手数料に関するトラブルの対処方法は、以下の通りです。
媒介契約に関するトラブル
媒介契約に関するトラブルとして多い事例に、囲い込みがあります。
囲い込みとは、不動産会社が売り手と買い手両方から仲介手数料を得るために、物件の情報を公開せず他社からの問い合わせや紹介を制限する行為のことです。
買い手を自分で見つけられない専属専任媒介契約の場合に起こるケースです。
囲い込みが行われると、売却活動の遅延や、物件が安価に売りさばかれることから売主にはデメリットしかありません。
囲い込みをされると他社からの問い合わせが制限されるため、買い手がつかない状態が続き、売却活動が長引いてしまう傾向にあります。
また、意図的に買い手がつかない状態にしている可能性もあります。中々買い手がつかないので「物件の価格が高いから売れない」という口実で、値下げしようとします。
結果的に、売主は損をし、不動産会社は両手仲介で通常の2倍の儲けになる、という極めて悪質な手法なのです。
囲い込みの事例の多くは、売主側が気づかないと明るみにでないため、未だに横行しているのが現状です。囲い込みのトラブルを避けるために、以下の3つに注意しましょう。
レインズに登録されているか
不動産会社は積極的に売却活動を行っているか(広告なども確認)
相場から著しく外れた価格設定がされていないか確認する
売主との媒介契約違反として、囲い込みを明確に禁じている会社は増えていますが、大手であっても安心できません。
事前にできる対策として、不動産会社に依頼したあとも、販売活動が適切に行われているかを常に注意しましょう。
物件に関するトラブル
物件に関するトラブルでは、特に隠れた瑕疵(かし)に注意する必要があります。
隠れた瑕疵とは、不動産購入時にその瑕疵が買主にとって発見不可能な欠陥である場合のことです。具体的には土台部分のシロアリ被害や配管の水漏れがあります。
不動産の瑕疵は、売主の責任として故意や過失がなくても「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」という民法上の責任が発生します。
そのため隠れた瑕疵であっても売主の責任として売却後に賠償請求される事があるケースがあるので、売り主側は売却する物件の状況を正確に不動産屋や買い手側に伝える必要があります。
隠れた瑕疵に関するトラブルは、どんな物件にも起こる可能性があり、売主が発見不可能でも契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)は追及されます。
ただ、取引時に買主がその瑕疵を知っている、若しくは買主が注意をしていれば発見できたと考えられる場合には、買主は契約具適合責任を主張できません。
トラブルを防ぐために売主が事前にできる対策として、隠れた瑕疵に該当する部分を売却前にしっかりと確認することが必須です。売主は以下の対策を実践してください。
ホームインスペクション(住宅診断)を実施する
重要事項説明書等に隠れた瑕疵について、「買主の購入意思決定に影響を与える事項」「物件を使用することに影響を与える可能性がある事項(上記事例では給排水施設)」を記載する
買主に対して売買契約前に建物の状況を詳しく説明する
既存住宅売買の瑕疵保険に加入する
ホームインスペクションを行うと、プロに不動産に不備がないか調べてもらうことができ、隠れた瑕疵を事前に把握することができます。
重要事項説明書とは売買経緯役所に付随する書類であり、物件の付帯設備やさまざまな箇所(壁や床など)について記載されている書類です。
こちらに記載することで買主と一緒に不備がないことが確認でき、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)が発生するリスクをおさえられます。
加えて、瑕疵保険は、万が一契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)に問われた際に損害金を保証してくれますので加入をおすすめします。
支払いに関するトラブル
支払いに関するトラブルで多いのは、契約を交わしたにもかかわらず買主から支払いがなされないというトラブルです。
事例としては、ローンの審査がおりる前に売買契約を締結し、手付金まで支払われたが、ローンの審査に通らず残額の支払いができなくなったケースが多いです。
この場合、売主と買主の間で手付金の返却、媒介契約の取り扱い、残金の支払いが問題になります。
支払いがされないトラブルへの対処法は以下の通りです。売主は媒介契約締結前に実践してください。
売買契約を結ぶ前に、ローンが組めるのかを確認してもらう
「ローンが通らなかった場合は売買契約がなかったことになる特約」に関する契約書の記載の解釈について買主と合意を得ておく(手付金の取り扱い、キャンセル料、残額の支払いについて等)
ローン審査に関する支払いトラブルの対処で難しい点は、ローンがいくら組めるのかは個人情報に由来するため、売主が予測できない点です。
そのため、買主がローンを組めるのかどうかは事前に確認するよう促しておくのは大事です。
またローン特約は、解除条件型(当然失効型)と解除権留保型(解除権行使型)の2種類あるため、どちらに該当するかで解除の条件が異なります。
これらを確認の上で契約に沿った対処を行います。
ローンの審査に通らなかったため、売却契約を解除したいという事例は少なくありません。このトラブルは、多大な金額が関係するのと、トラブルに対処する分新たな売却活動を始めるまでの期間が長くなってしまうため、事前にできる対策はしておきましょう。
契約解除に関するトラブル
契約解除に関するトラブルは、不動産売却に関するトラブルの中でも特に多いです。
契約関連の知識は複雑であるため、うやむやなままで進めてしまう売主・買主が多いことが原因です。
ただ、多くの場合不動産会社の選定に問題があります。よくない業者を選んだ場合は、業者側に都合のよい契約にされていたり、通常記載されるべき事項が抜けていたりします。
具体的には、住宅ローンの事前審査を受けずに勢いで売買契約を行うケースや、手付金は支払ったけれど資金繰りができないため契約解除したいという際に、契約解除に関する支払いや契約の取り扱いでもめるケースが多いです。
契約解除に関するトラブルの対処法は以下の通りです。
契約解除に関するトラブルの具体例を不動産会社から共有してもらう
売買契約締結前に、契約解除に関する明確な取り扱いを決めておく
不動産会社から適切なアドバイスをもらえない場合は、他機関へ相談する
契約解除に関する専門的な知識は、自分で調べられないことが多いので、不動産会社にサポートしてもらいます。詳細な説明がないなど親切な不動産会社でない場合は、契約解除に関する情報提供や買主との交渉を売主から促します。
不動産の無料査定はとても便利なサービスではあるものの、トラブルが発生しやすいというデメリットもあります。
不動産の無料査定で起こりやすいトラブル事例をご紹介します。
しつこい営業電話が増えた
不動産会社は、営業活動の一環として不動産の無料査定を行っています。そのため、査定を依頼した不動産オーナーには、
「うちと媒介契約を結びませんか」という営業電話が必ずと言っていいほどかかってくるでしょう。
査定額に納得がいかない場合はお断りをすれば済むものの、なかには毎日のようにしつこく営業電話をかけてくる不動産会社もあるようです。
査定額は高かったのに売れなかった
不動産の無料査定は、複数の不動産会社に依頼するケースが多いです。そのため、他社よりも優位に立つために、
あえて相場よりも高い査定額を提示する不動産会社も珍しくありません。査定額が相場とかけ離れている場合、
当然ながら、査定通りの価格で不動産が売れることはないでしょう。結果的に複数回の値下げを余儀なくされ、
「期待していた価格で売れなかった」というトラブルも起こりやすいです。相場を無視した高額の価格設定をしてしまうと、
なかなか売却できずに販売期間が伸びてしまい、購入希望者に対して「人気がない物件」という印象を与えかねません。
媒介契約を結ぶ際には、査定額だけを鵜呑みにせず、算出の根拠を提示してくれるなど、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
査定額を信じて相場より安く売ってしまった
高い査定額を提示してくる不動産会社がある一方で、その反対も起こりえるトラブルの一つです。
不動産会社が売却活動に時間や手間をかけたくないという理由から、相場より低い査定額を提示して、そのままの価格で売り切ってしまうという事例です。
不動産会社が提示する査定額を鵜呑みにしてしまうと、「本当はもう少し高く売却できたのに」と売却後に後悔する可能性もあります。
複数の不動産会社に査定を依頼したうえで、自分でも相場価格を調べておくと良いでしょう。
査定結果がなかなか届かない
確かに査定を依頼したはずなのに、査定結果がなかなか届かないというトラブルもよくある事例の一つです。
築年数が古い物件、立地が悪い物件など、売れにくい不動産の場合、不動産会社が敬遠し、査定をしないというケースもあるようです。
不動産の無料査定ということもあり、依頼する側としても催促しにくいと感じてしまいます。
査定結果が届かない、または査定を断られてしまった場合は、別の査定依頼先を見つけるしかないでしょう。
近隣住民に知られてしまった
不動産の無料査定を依頼すると、不動産の担当者がスーツを着用して訪問してきます。訪問を伴わない「机上査定(簡易査定)」という査定方法もありますが、
できるだけ早く売却したいなどの希望がある場合は、訪問査定を行うケースが多いです。訪問査定の様子を近隣住民に見られてしまうと、
不動産の売却を予定していることを悟られてしまいます。近隣住民に知られたくない場合は、訪問査定の時間を指定したり、不動産会社の社用車を家の前にとめないで欲しいなど、
要望をしっかりと伝えておきましょう。
悪徳業者と契約してしまう
「不動産買取」を看板にあげている業者の中には、いわゆる「悪徳業者」と言われるような業者がいないわけではありません。
・手数料名目の費用を請求する
・不当に低い買取査定をして無理やり契約させる
・代金を払わずに先に所有権移転登記を要求する
・所有権移転に必要な書類を引渡し前に要求する
・換金できない小切手などで代金支払いをする
などの事例も過去に起きているので要注意です。
以上のトラブルを避けられるよう万全のサポートをさせていただきます。まずはお気軽にご相談ください。