在宅看取りをすると事故物件扱いになる?売却時の影響や対応について

現在、ご自宅やご実家で在宅介護をされているご家庭も非常に多いのではないでしょうか。

そのため、「在宅看取りを終えた後の物件を売却するとき、事故物件に該当するのか?」と悩んでいる方も少なくありません。

当社にも、

  • 親が亡くなった後、実家を売却したいが、在宅介護をしていたため、両親が自宅で亡くなっている
  • その場合、事故物件告知事項に該当するのか?

といったご相談をいただくことがあります。

本記事では、在宅看取りを終えた物件は事故物件なのか、告知義務や売却への影響について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

1. 在宅看取りは事故物件になるのか?

心理的瑕疵とは?

不動産の売却において、「心理的瑕疵(しんりてきかし)」とは、購入希望者や入居希望者が心理的に嫌な印象を受ける要因を指します。

特に、人の死が関わるケースでは、事故物件として告知義務が発生するかどうかが問題となります。

事故物件(心理的瑕疵物件)に該当するケース

国土交通省のガイドラインによると、以下のようなケースでは告知義務が発生します。

殺人事件、事故死(不審死) → 告知義務あり
自殺 → 告知義務あり
発見が遅れた孤独死(腐敗や特殊清掃が必要な場合) → 告知義務あり
病死・老衰 → 告知義務なし(例外あり)

つまり、在宅看取りの場合は、法的には事故物件ではありません。

例外:告知義務が発生する可能性がある場合

  1. 発見が遅れた場合(死後数日〜数週間経過し、腐敗が進んでしまった場合)
  2. 特殊清掃が必要になった場合(遺体の腐敗が進み、臭いやシミが残るケース)
  3. 警察が検死を行った場合(事件性が疑われたケース)

このような場合は、心理的瑕疵として告知義務が発生する可能性が高いため、注意が必要です。

また、購入希望者が心理的に抵抗を感じる場合もあるため、売却時には適切な説明を行うことが望ましいです。

告知義務の対象となるかどうかは、最終的には不動産会社と相談の上、判断するのが安心です。

2. 在宅看取りが起きた場合の告知義務の判断基準

国土交通省が発表したガイドラインでは、以下のような基準が示されています。

ケース告知義務の有無
病死・老衰(すぐ発見された場合)告知義務なし
自殺・殺人告知義務あり
孤独死・発見遅れ(腐敗が進んだ場合)告知義務あり
特殊清掃が必要になった場合告知義務あり

在宅看取りの場合、基本的には事故物件ではありませんが、「遺体の発見が遅れたかどうか」が重要なポイントとなります。

不動産売却前に確認すべきポイント

  1. 発見状況:死亡から発見までの時間が短いかどうかを確認。
  2. 清掃の有無:特殊清掃が必要だったかどうかを不動産会社と相談。
  3. 周囲の認識:近隣住民の反応によって心理的瑕疵となる可能性を考慮。

また、買主が気にする可能性があるため、売却前にリフォームやハウスクリーニングを実施し、清潔感を保つことも重要です。

売却時には、不動産会社としっかり相談し、売却戦略を立てることが大切です。

在宅看取り後の不動産売却で影響を最小限にする方法

在宅看取りがあった物件を売却する際に、できるだけスムーズに取引を進めるための方法を紹介します。

① すぐに売却せず、一定期間を空ける

看取りを終えたばかりの物件は、購入希望者が心理的に敬遠する可能性があります。
売却前に一定期間を空けることで、購入希望者の心理的な抵抗を和らげることができます。

  • 半年〜1年程度、時間を置いてから売却活動を開始する
  • 一定期間、賃貸に出して「住んでいた履歴」を作る(「最近まで人が住んでいた」となると心理的抵抗が和らぐ)
  • 空き家管理サービスを活用し、定期的な手入れを行う(人の出入りがあることを示す)

② クリーニング・リフォームを実施する

見た目や臭いの印象を改善することで、購入希望者の不安を軽減できます。

  • ハウスクリーニングや消臭対策を徹底する
    • 特殊清掃までは不要でも、換気や脱臭を徹底する
    • 布製品(カーペット・カーテン)など臭いを吸収しやすいものは交換
  • 必要に応じて壁紙・床の張替えを行う
    • 特に和室の畳は臭いを吸収しやすいため、新調するのも効果的
  • リフォームして室内の印象を一新する
    • 水回り(キッチン・浴室・トイレ)の清掃や簡単な修繕
    • 壁や天井の明るい色のクロスで、清潔感を演出
  • 外壁や庭の手入れを行い、外観の印象を良くする
    • 第一印象を向上させるため、庭の草刈りや植木の剪定
    • 玄関ドアやポストなどの補修

③ 販売価格を適正に設定する

適正な価格設定を行うことで、売却期間の長期化を防ぎます。

  • 市場相場と比較し、適正価格を設定する
    • 高すぎると売却期間が長引くため、相場を基準に価格を決める。
  • 相場より1割程度低く設定すると早期売却の可能性が高まる
    • 多少価格を下げることで、心理的なハードルを低くする。
  • 不動産会社と相談し、値付け戦略を練る
    • 「最初は高めに設定し、反応を見て調整する」など柔軟な対応を考える。
  • 価格交渉の余地を考慮し、柔軟な対応を検討する
    • 購入希望者が値下げ交渉しやすいように、若干高めに価格設定することも一つの手段です。

④ 「買取」も検討する

通常の仲介売却よりも早く売却したい場合は、不動産会社による「買取」を選択肢に入れるのもおすすめです。

  • 買取なら短期間で売却可能(1ヶ月程度)
    • 買い手探しをせずに、直接不動産会社が購入
  • 広告を出さずに売却できるため、周囲に知られにくい
    • 「事情を知られたくない」「早く手放したい」場合に最適
  • 告知義務をどうするかなど、柔軟に対応しやすい
    • 不動産会社と相談し、最適な売却方法を選択
  • 現金化が早く、売却手続きを迅速に進められる
    • 急ぎで資金が必要な場合や、相続税対策を考えている場合に便利

⑤ 売却のターゲットを明確にする

売却対象を明確にすることで、購入希望者を効率的に探せます。

  • 「高齢者向け住宅を探している人」に売却
    • バリアフリー対応の物件であれば、高齢者の購入希望者が見つかる可能性があります。
  • 「投資家」に売却
    • 賃貸物件として活用したい不動産投資家に売却する
  • 「農業を始めたい人」に売却
    • 郊外の物件なら、家庭菜園や農業を始めたい人のニーズがある
  • 「リフォームを前提に考えている人」に売却
    • リノベーションを希望する人向けに、修繕前提の販売戦略を立てる

⑥ 告知義務を適切に対応する

告知義務の範囲を確認し、適切に対応することが重要です。

「住んでいた家族が大切に使っていた物件である」ことをアピールする

心理的瑕疵に該当するか確認

不動産会社と相談し、告知の必要性を判断する

買主の安心感を高めるため、事実を正直に伝える

「在宅介護で家族が亡くなった」という事実を伝え、問題がないことを説明する

告知義務の有無に関わらず、購入希望者に納得してもらう工夫をする

「きちんと清掃し、管理されていたこと」を強調する

4. まとめ

在宅看取りは、法的には事故物件にならない!

病死・老衰は告知義務なし!
発見が遅れた場合や特殊清掃が必要な場合は告知義務が発生する可能性がある!
売却前にクリーニングやリフォームをして印象を改善するのが効果的!
早期売却を希望する場合は「買取」も選択肢に!

家を売る際、「事故物件」とされると価格が下がり、売却が難しくなるため、気にする人が多いです。
しかし、在宅看取り(終末期の家族を自宅で看取ること)があった家は、基本的に事故物件にはなりません。

不動産の売却では、「心理的瑕疵(しんりてきかし)」があると判断されると告知義務が発生します。
これは、住む人に不安や嫌な印象を与える要因を指し、自殺や殺人、事件性のある死亡が該当します。
一方で、病気や老衰による自然死は、どの家でも起こりうるものとされ、事故物件にはなりません。

また、事故死であっても、階段からの転倒や誤嚥(食べ物の詰まり)、浴室での心筋梗塞などは「日常の不慮の事故」とみなされ、告知する必要はないとされています。
乳幼児突然死症候群や、原因不明の突然死も事件性がなければ事故物件に該当しません。

心理的瑕疵には明確なルールがなく、買主によっては「家で人が亡くなったこと自体が気になる」という人もいます。特にインターネットやSNSの普及により、過去に誰かが亡くなった家だと知られてしまうと、風評被害を受ける可能性があります。

例えば、事故物件情報を公開するWebサイトに情報が書き込まれると、実際には事故物件でなくても「売れにくい物件」となり、価格を下げざるを得ないケースが出てきます。**また、売却時に説明しなかったことで、買主が後から「心理的瑕疵があった」と訴えることもあるため、慎重な対応が必要です。

ただし、長期間発見されなかった孤独死や、遺体の腐敗が進み特殊清掃が必要になった場合は、心理的瑕疵とみなされ、告知義務が発生する可能性があります。
また、警察が検死を行った場合も事件性を疑われやすいため、注意が必要です。

心理的瑕疵には明確なルールがなく、買主によっては「家で人が亡くなったこと自体が気になる」という人もいます。特にインターネットやSNSの普及により、過去に誰かが亡くなった家だと知られてしまうと、風評被害を受ける可能性があります。

例えば、事故物件情報を公開するWebサイトに情報が書き込まれると、実際には事故物件でなくても「売れにくい物件」となり、価格を下げざるを得ないケースが出てきます。
また、売却時に説明しなかったことで、買主が後から「心理的瑕疵があった」と訴えることもあるため、慎重な対応が必要です。

在宅看取り後の物件を売却する際は、不動産会社に正確な情報を伝えた上で、売却戦略を立てることが重要です。

「在宅看取りを終えた物件を売りたいが、どうすればよいかわからない」という場合は、不動産の専門家に相談するのがおすすめです!

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